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NEW TREATMENTS FOR NARCOLEPSY

ナルコレプシーの
新しいお薬

2026年、日本でナルコレプシーに対する新しいしくみのお薬が2つ承認されました。
オレキシンに働く「オーゼイフル」と、ヒスタミンに働く「ウエキクス」です。
日本の添付文書(国の承認にもとづくお薬の公式な説明書)の内容に沿ってご紹介します。

オーゼイフルは2026年10月15日に発売されます。ウエキクスは、添付文書(第1版)では販売開始日が「-」(未定)となっています。当院での処方については、決まり次第お知らせします。

TWO NEW MECHANISMS

2つの新しいしくみ

OREXIN

オレキシンに働くオーゼイフル

オレキシンは、覚醒や睡眠、注意力を調節している脳内の物質(神経ペプチド)です。ナルコレプシータイプ1は、脳内でオレキシンをつくる細胞が失われることで発症します。

オーゼイフルは、オレキシンが働く場所の一つ「オレキシン2受容体」を選択的に活性化します。添付文書の作用機序では、これにより持続的な覚醒を促し、カタプレキシー(情動脱力発作)などのレム睡眠に関連する症状を軽減させる、と説明されています。

HISTAMINE

ヒスタミンに働くウエキクス

ヒスタミンは、脳の中で目覚めにかかわる物質の一つです。脳の神経には、ヒスタミンが出すぎないようにブレーキをかける「H3受容体」があります。

ウエキクスは、このH3受容体のブレーキを外す(遮断する)ことでヒスタミンの放出を促し、脳内のヒスタミンの働きを高めます。H3受容体を介して、ヒスタミン以外の神経伝達物質の放出も調節し、その結果、覚醒を促すと考えられています。

LINEUP

2つのお薬の比較

商品名(一般名)種類効能・効果添付文書の用法・用量(成人)
オーゼイフルオベポレクストン 飲み薬
オレキシン2受容体
選択的作動薬
ナルコレプシータイプ1 1回1mgを1日2回(起床時と、その3〜5時間後)
効果が不十分で、忍容性に問題がない場合に限り1回2mgまで増量
ウエキクスピトリサント塩酸塩 飲み薬
ヒスタミンH3受容体
拮抗薬・逆作動薬
・ナルコレプシー
・CPAP療法等を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群に伴う日中の過度の眠気
1日1回、朝
ナルコレプシー:10mgから開始し、1週ごとに20mg、40mgへ段階的に増量
睡眠時無呼吸症候群:5mgから開始し、1週ごとに10mg、20mgへ段階的に増量
(いずれも状態に応じて適宜減量)

※表は横にスクロールできます(スマートフォン)。どのお薬が合うかは、診断や症状、ほかのお薬などをふまえて医師が判断します。

DETAILS

それぞれのお薬

飲み薬

OVEPOREXTON

オーゼイフル

オベポレクストン

オーゼイフル錠0.5mg・1mg・2mg (2026年8月24日 承認/2026年10月15日 発売)

対象
ナルコレプシータイプ1。睡眠障害国際分類(ICSD)の診断基準にもとづいて慎重に診断し、基準を満たす場合にのみ使います。ナルコレプシータイプ1の病態・診断・治療に精通した医師、またはその医師との連携のもとで使います。
飲み方
1回1mgを1日2回。1回目は起床時、2回目はその3〜5時間後に飲みます。効果が不十分で、忍容性(副作用など)に問題がない場合に限り、1回2mgまで増量できます。一部のお薬(中程度のCYP3A阻害剤:ベラパミル、ジルチアゼム、フルコナゾールなど)と一緒に使う場合は、1回0.5mgにします。
主な副作用
不眠症55.6%、頻尿54.0%、尿意切迫16.7%、流涎過多(よだれが多くなる)(いずれも2%以上)。量を増やした場合に、不眠症・頻尿などが増えるおそれがあります。
一緒に使えないお薬(併用禁忌)
クラリスロマイシンを含む薬、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、リトナビルを含む薬、エンシトレルビル(新型コロナウイルス感染症の飲み薬)、コビシスタットを含む薬、セリチニブ。
また、グレープフルーツジュースで作用が強まるおそれがあります。てんかんなどのお薬(カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトインなど)で効果が弱まるおそれがあります。
特に注意すること
重い肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある方は使えません。前立腺肥大症などで尿が出にくい方、過活動膀胱や尿路感染症のある方は、症状が悪化するおそれがあります。アルコールや薬物乱用の経験がある方は、使用前・使用中に注意深く確認します(乱用の可能性があるとされています)。
飲み薬

PITOLISANT

ウエキクス

ピトリサント塩酸塩

ウエキクス錠5mg・20mg(劇薬) (2026年9月16日 承認)

対象
ナルコレプシー(睡眠障害国際分類の診断基準を参照し、ほかの睡眠障害と区別したうえで診断された方)と、CPAP療法などを行っても日中の強い眠気が残る閉塞性睡眠時無呼吸症候群(眠気の原因となるほかの病気と区別したうえで)。睡眠障害の診断・治療に精通した医師、またはその医師との連携のもとで使います。
飲み方
1日1回、朝に飲みます。ナルコレプシーでは10mgから始め、1週ごとに20mg、40mgへ段階的に増やします(睡眠時無呼吸症候群では5mg→10mg→20mg)。不眠が生じるおそれがあるため、午後には飲みません。ナルコレプシーで、重い腎機能障害のある方、一部のお薬(強いCYP2D6阻害剤)を使っている方、遺伝的にCYP2D6の働きがない方、中等度の肝機能障害のある方は、最高20mgまでです。
主な副作用
初期不眠症(寝つきが悪くなる)、不眠症、頭痛(いずれも5%以上)。
飲み合わせ
抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、プロメタジンなど。市販のかぜ薬や鼻炎薬などにも含まれることがあります)で効果が弱まるおそれがあります。パロキセチンなど(CYP2D6阻害剤)で作用が強まるおそれ、リファンピシン・カルバマゼピン・フェニトインなどで効果が弱まるおそれがあります。QT延長を起こすことが知られているお薬との併用にも注意が必要です。
特に注意すること
重い肝機能障害(Child-Pugh分類C)のある方は使えません。精神の病気がある(またはあった)方は、症状が悪化したり、自殺したい気持ちがあらわれたりするおそれがあります。QT延長を起こしやすい方は、必要に応じて心電図で確認します。
ピルなどホルモンを使った避妊薬の効果が弱まるおそれがあるため、服用中と最後に飲んでから21日間は、ホルモンを使わない避妊法を使います。妊娠中・妊娠の可能性がある方には、使わないことが望ましいとされています。
睡眠時無呼吸症候群の方へ
このお薬の効果は睡眠の代わりにはなりません。適切な睡眠をとり、CPAP療法などの治療を続けることが前提です。

※副作用は添付文書の「その他の副作用」から主なものを抜き出したもので、すべてではありません。%は添付文書に記載された頻度です。
※各お薬のカラーは、製造販売元などの公式製品サイトの配色をもとにしています(オーゼイフル:武田薬品工業の米国製品サイト、ウエキクス:同じ成分の海外製品サイト)。各社のロゴではなく、日本での製品デザインとは異なる場合があります。

POINTS

使うときに大切なこと

  • 眠気が残る間は、車の運転などをしないでください。2剤とも、病気やお薬の影響で目覚めの状態が完全には戻らない可能性があるとされています。眠気などがあるときは、自動車の運転など危険を伴う機械の操作はしないでください。
  • 飲んでいるお薬・サプリメントは、必ずお知らせください。オーゼイフルには一緒に使えないお薬(抗生物質・抗真菌薬・新型コロナの飲み薬の一部など)があり、ウエキクスは市販のかぜ薬・鼻炎薬に含まれる抗ヒスタミン薬で効果が弱まるおそれがあります。
  • 年齢について。2剤とも、添付文書の用法・用量は成人が対象です。オーゼイフルは小児等を対象とした臨床試験は行われておらず、ウエキクスも睡眠時無呼吸症候群について小児等を対象とした臨床試験は行われていません。中学生・高校生の方の治療については、担当医にご相談ください。
  • 妊娠・授乳について。オーゼイフルは、妊娠中または妊娠の可能性がある方には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使います。ウエキクスは、妊娠中・妊娠の可能性がある方には使わないことが望ましく、服用中は避妊の方法にも注意が必要です。授乳中の方は、2剤とも授乳を続けるかどうかを検討します。当院は産婦人科がある病院なので、必要に応じて連携します。
  • 自己判断でやめずに、ご相談ください。オーゼイフルは、やめたときの影響が比較試験では体系的に評価されていないため、やめた後も状態を観察することが望ましいとされています。量の調整や中止は、医師と相談しながら行います。
REFERENCES

出典(各お薬の添付文書)

  • オーゼイフル錠0.5mg・1mg・2mg 添付文書(2026年8月作成 第1版)
  • ウエキクス錠5mg・20mg 添付文書(2026年9月作成 第1版)

掲載日:2026年10月11日(上記の版で内容を確認しています)。添付文書は改訂されることがあります。最新の情報は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書情報でご確認いただけます。

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このページの内容は、各お薬の添付文書にもとづく一般的な情報です。お薬の使用は、医師の診察のうえで判断します。
監修:福井愛育病院 頭痛・睡眠障害(起床困難、過眠)専門外来