院長挨拶

平成30年4月より福井愛育病院の院長に就任いたしました鈴木秀文です。
福井愛育病院が産声を上げたのは45年前、昭和47年のことです。現在のように福井の周産期医療、小児科医療に貢献できるようになったのは、石原義紀先生を始めこの病院のために長きにわたって献身的な働きをされた多くの人々のおかげです。その病院の院長という重責を担わせていただくことになり、身の引き締まる思いです。

私は昭和61年に広島大学医科学部を卒業し、京都府立医科大学附属病院や済生会京都府病院などで産婦人科医として研鑽を積み、平成6年に当院に着任いたしました。以来24年間にわたり当院で働かせていただいております。

思い返せば着任して1週間ほど経った頃、夜間の当直をしていたときに急な腹痛を訴えて妊娠9ヶ月の妊婦さんが来院されました。常位胎盤早期剥離で一刻も早く帝王切開をしないと母子ともに危険な状態でした。
「今すぐ帝切や!」と私が叫んだ途端、深夜にもかかわらず直ぐに手術室の準備が整い、小児科の先生も駆けつけてくれました。患者さんが来院してわずか30分後に赤ちゃんを娩出させることができ、最初泣かなかった赤ちゃんは小児科の先生の蘇生により元気に呼吸するようになり、また母体にも重篤な合併症無く手術を終えることが出来ました。

それまで勤めていた大病院では考えられないフットワークの軽さでした。職員全員が「患者さんのために何を為すべきか」を常に念頭に置いていないとできないことです。このとき私は、「この病院でなら心ゆくまで周産期医療に没頭することができる」と感じました。その気持ちを持ったまま今現在に至っております。

平成15年の病院建て替え以来、おかげさまで患者さんはさらに増えました。多くの患者さんに細やかな医療を提供するべく当院の職員も増え、私が着任した当初より随分と規模の大きい病院になりました。しかし福井愛育病院ならではのフットワークの軽さ、患者さんのために24時間365日真摯に対応する姿勢は今も昔も変わっていないことを誇りに思います。
病院の最大の教師は患者さんです。これからも患者さんに教えていただきながらさらに皆様のお役に立てるような病院にしていきたいと思っています。

病院長 鈴木 秀文